マーチング・マーチ/大村 浩一
を広げなが
ら、(そんなことあり得ない)その上を這う小さな蟻のイメージ、
「われら」と
呼べるものは無い、彼は大切なことをすぐに忘れてしまう。彼は砂粒のようで、
私は砂粒のようで、未明の嵐の部屋を閉じこめ、シャワーの前の、抹殺の前の、
あなたの匂いを思い出しながら(部分は部分でしかなく)、社用車を壊したと
責められ、私のうちがわは囲まれた砂嵐のようで、私は砂粒のようで、小さな
蟻のようで、こだまする/酸化する。昨夜の物思いは砂嵐のようで(私は手に
負えない)、テレビの空きchの砂嵐に父を見てしまつた、
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