さやかに星はきらめき/ホロウ・シカエルボク
然のプラネタリウムを楽しむことが出来る、夏の夜などそれを見上げたまま朝まで眠ることがある、さすがに今頃の季節にはそんなことは出来ないけれど―その日、住宅地を端から端まで歩いてみようと思ったのはちょっとした気まぐれだった、本当に誰も住んで居ないのか、住んでいるやつが居るとしたらどんなもの好きなのか、ささやかな興味を抱いたからだ、これまで何十回とこの街を訪れたが、人間の気配など感じたことはなかった、人間が住んでいる痕跡ひとつなかった、公園の公衆トイレは建てられた当時のまま美しさを保っていたし、どこも壊れてなどいなかった、メイン道路にはブレーキ痕ひとつなく、どこかの家でアイドリングしている車のエンジン音
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