さやかに星はきらめき/ホロウ・シカエルボク
ン音などひとつも聞こえなかった、住宅地は規則正しく並んでいて、俺は公園横の道路を起点にだいたい東西南北に分けて歩くことにした、営みの感じられない街の中というのは奇妙なものだった、ニュータウンといえど、人間を感じさせるものが必ずある、門扉にかけられた装飾的な表札やポスト、壁に立てかけられた自転車やプランター、人気が無くてもそうしたものがそこで誰かが住んでいるという事実をあらわにしている、この街にはそんなものがまるでなかった、「街はそのままで、人間だけがごっそり消えてしまったような」そんな世界に迷い込む話たまにあるよな、と、そんなことを考えながら歩いていると、ひとつのブロックの終わりに小さな教会がある
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