ただ赤く塗り潰して/ホロウ・シカエルボク
負うだろう、それ以上の事実が果たして必要だろうか、内奥の現象は物質と同じだ、そこに置かれた方法や状態がすべてだ、血溜りのなかの指先はそこから抜け出そうとするだけで様々な詩をそこに残すだろう、鯱張った理念のためにここに居るのではない、愛のために、心のために、世界のために、人間のために、人生のために、ここに居るのではない、すべては限定されない魂の歌のなかにある、神経や、筋肉や、細胞たちが、こうして扉を開けるたびに軋むことや、叫ぶことや、笑うことや嗚咽することのなかに、もしも、べろりと皮膚を剥ぐことが出来たら手っ取り早いだろう、それはどんなものにも勝る叫びと、詩文となるだろう、結論なんて単純で安直なもの
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