ただ赤く塗り潰して/ホロウ・シカエルボク
 
ものだ、だから結論のためにこれらはあるべきではない、筋書きが必要なら人生はすべて燃やしてしまうことだ、太陽が、月が、石がここにあるように、火が、水が、宿命によって蠢くように、ごらん、ごらんよ、ここにあるものはとても見られたものじゃない、だからこそ目が離せなくなるはずさ、覚悟だよ、覚悟を決めなければここには居られない、誰かへの思慕や、己のイメージの調整のために居るんじゃない、そこには自分自身の根源的な蠢きしかない、判るかい、それがどうして語られなければならないのか、判るかい、それがどうして差し出されなければならないのか、絶対的な個としての魂には個である理由がないからだ、それは俺のもので在りながら、お前のもので在ることだって出来るんだ、それは共感とか共鳴とは違うものだ、個を、種を超えたなにかだ、それは俺で在りながら俺ですらない、だから俺はここから立ち去ることが出来ない、真実は留まらない、陽炎のように、逃げ水のように曖昧に見えるのみだ、それは最期の瞬間まで追わざるを得ないだろう、そしてその瞬間でさえも、それが本当に望み続けたものなのかどうか知ることはないだろう。


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