聖夜、水色の花に触れる/秋葉竹
 
にも、始まらないのは
なにも、始めようしないから、

なのだから。

ひと眠りをしたら、いい人のふりをしよう
氷たっぷりの、冷水を友とし、
辛い人生を消し去るように忘れよう

心でさえ、
一滴の血も触れれば凍るほどに、
その土まで冷えているだろう。
入った瞬間は、寒いと感じるくらい。

世界は、ただ忘れられることを待ち
歌は、ただ眠りをいざなう夢を忘れない

この部屋にも、こんや。
君の優しさが転がっていると
僕の目には映るんだ

夢を忘れない僕には
聴こえてくるはずのない、
星空への特別な祈りを捧げる歌声が
その部屋にはながれているような


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