聖夜、水色の花に触れる/秋葉竹
深く、折りたたまれた心のアルバムに
平凡な誠意という言葉にすり替えられて
貼り付けられるような
「ありがとう」
「さようなら」
心の扉を開ける歌声は、
しっとり濡れていて、
けれど、忘れることなどない
オーティス・レディングの
『ホワイト・クリスマス』
その甘く、切ない、哀しみを掠れさせた
懐かしい歌声が、
ながれる
どんなことが起こっても
僕は君と
この部屋にながれる
美しくも、かすかに掠れた夢の歌声を
きっと、聖夜、聴くだろう
だから、僕はこの部屋から、
出られない
心には夢があり
聖夜、僕はその夢色の歌声を聴きながら
ようやく、微笑むのだろう
きっと、忘れてはいけない
僕と君の希望の未来を想い描いて
ありがとう、オーティス、
って言うんだ
その哀しみに、
さようなら、オーティス、
って。
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