スラップスティック・メルヘン/ホロウ・シカエルボク
止めの注射のほうがずっと痛かったよ」
俺は大袈裟に痛がる素振りを見せた、女は歳相応の明るい笑い声を上げた
まさか自分がナイフを突き刺した相手に慰められるなんて思わなかったわ、と笑い終えると彼女は呟いた
「ごめんなさい、それと、ありがとう」
俺は頷いた、彼女は人間的に賢い娘だ
それから俺たちは数日の間、病室で他愛無い話をして過ごした、黒人の警官は時々様子を見に訪れ、俺たちの様子を見て楽し気にからかった
「ディズニーの映画を観てるみたいだ!」
退院は俺のほうが先だった、俺は彼女に自分のアドレスを教えた、彼女はその意味をわかっているみたいだった
「退院してもしばらくは連絡しないわ」
「
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)