スラップスティック・メルヘン/ホロウ・シカエルボク
 
だ甘えていい歳だ、と俺は笑って言った、彼女も笑って首を横に振った
「両親とか、周囲の人間とか―そんな小さな世界の中で誰ともうまくやれないってそれだけで、地球上に人間すべてが自分の敵だって思うようになってた、あなたの腕を刺した瞬間にそのことがわかったの、パーンって…風船が割れるみたいに馬鹿な考えが弾けて飛んでった」
俺は頷いた
「ところがあなたは顔色ひとつ変えずに私からナイフを奪って放り投げたじゃない?もう駄目だ、と思ったわ、自分がひどく間違えていたことがわかったのに、もうそれをやり直すチャンスはないんだって」
ちょうど痛くないところに刺さってたらしい、と俺は説明した
「手術の時の痛み止め
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