スラップスティック・メルヘン/ホロウ・シカエルボク
「入院してる間、彼女と二人部屋にしてくれないか?」警官は怪訝な顔をした
「それは…どういう…?」
おかしなことは考えていない、と俺は言った「たださ、精神科医とか、児童福祉施設とか、そういう連中よりは、俺のほうがいいと思うんだ、彼女のケアは」
無茶なお願いだとは思うよ、と俺は認めた
「でもさ、俺を刺した時の彼女の顔…まるで自分が刺されたみたいな顔をしてたんだ、ナイフを通じて彼女の痛みが俺に伝わったような、そんな気がしたんだよ、どうかな、入院中だけでいいんだ、彼女のケアを俺にやらせてみてはくれないか?」
警官は規則と人情とそれから少し奇妙な事態への興味を測りにかけているような表情をした
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