スラップスティック・メルヘン/ホロウ・シカエルボク
」
女は俯いたまま動かなかった、やがてどたどたと足音がして、警官が二人現れた、彼らは俺たちの状態を見て、いったいどちらがどちらをやったんだ?という顔をした
俺は被害者で彼女が加害者だ、その腕の傷は彼女が自分でやったものだ、凶器はあそこだ、俺が自分の腕から引き抜いて投げた、と俺は一通り説明した
「救急車を呼びます」と若い、ブロンドを兵隊みたいに刈り込んだ警官が言った
そうしてとりあえず大騒ぎは終わった
病院で治療を受け(今後腕が動かなくなる可能性もあったそうだ)警官や医者とあれこれと話をした、俺は彼女を訴えないと言った、でもひとつお願いをきいてほしい、とインテリくさい黒人の警官に言った
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