冬に向かう 三篇/山人
 
していた
鋭い初冬の日差しに打たれながら
鈍い痛みを感じていた




浮遊する冷たい空気の
時間を刻む音が聞こえてくる気がした
すべての色が失われた初冬は
まるで剥がれた皮膚
少しだけ血が滲み浮き出ている

すでに骨格すら失われた
白い水平線の向こうには
優しみがわずかに震えている

鼓膜に入り込むのは
生まれたばかりの仔虫の声と
潤沢な餌を持つ生き物たち

彼らの存在は命を持ち
声を発している
私はその傍らで
来る当てもない汽車を待ち続ける



雪が降る
この小さな心臓の真ん中に
冷たい塊を落としに

臓腑の中に冷たい湖を作り
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