浅い落とし穴からは少しだけ世界が覗ける/ホロウ・シカエルボク
 
ない…目的のない夜にルー・リードの声なんて聴くもんじゃない、そうは思わないか?腹の裂けた犬が内臓を垂れ流しながら歩いているのを、ビデオカメラを構えてずっと撮り続けているみたいな、そんな気分になる、でもだからってどんなものをリクエストすればいい?俺にはそんな時に適当な音楽があるようには思えなかった、いっそのことマイケル・ボルトンでも流しておけばいい―少なくともそこになにか気になることがあるとは思えないから―真夜中に薄暗い店の中でそんなことを考えていると、時間がここから動いていないような気分に陥る、自分のこれまでの人生は、ここに腰かけてぼんやりとしている間に見ていた夢のようなものだったのではないかなん
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