御免よ、僕には気づいてあげることが出来なかった/ホロウ・シカエルボク
こともきいた、そんな患者はもちろん居なかったし、ひどく心配された、違うんだ、と僕は弁解した、最近何度かそんな夢を見たものだから、なんだか気になってしまって、うん…ひどくリアルな夢でさ―聞こえていた悲鳴が聞こえなくなった、悲鳴の主は死んだのだ、そう考えるのが普通だ―それからの毎日は憂鬱だった、なにもしたくなかったし、誰とも話したくなかった、もちろん僕は悲鳴の主のことなどなにも知らなかったし、気にする義理なんてなにもなかった、でもそいつの悲鳴は長いあいだ僕の生活の中にあったし、そこにはきっと僕である理由があったはずだったのだ、でもなにもわからなかった、なにもしなかった自分が馬鹿みたいに思えた、よほどひ
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