御免よ、僕には気づいてあげることが出来なかった/ホロウ・シカエルボク
初僕は確かにそう思った、ほとんど気にならなくなってはいたといえ、それがずっと聞こえているというのはなかなかのストレスだった、世界はこんなに静かだったのか、と僕は周辺の音に耳を澄ませた、ちょっと感動したりした、久しぶりに解放された僕は、とてもリラックスした気持ちでその日の午前中を過ごした―が、時刻が午後に切り替わって昼飯の安いパスタが胃袋の底にどっしりと腰を据えるころ、急にとてつもない不安感に包まれた、だってそうだろ、いままでずっと聞こえていたあの声は、他のどんなものでもない悲鳴だったんだぜ、誰かが悪口を言ってくるとか、馴れ馴れしくため口をきいてくるとか、そういうことではなく―あれは間違いなく悲鳴だ
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