生臭い魚の腐った季節の中にいる/狩心
 
は誰だか知らない
 誰だか知らないし
 愛してもいない
だが、
 優しく抱き締めていた
 丸めてボールにして蹴った
 日が暮れるまで
そう、
火が、地平線に落とされたときおまえは
どさくさに紛れて
 おれを食らった
開戦の 幕開けの
爆心地のど真ん中のクレーターで
誰にも見られずにおまえは
 おれを食い殺した
 食い殺したおまえは
 血飛沫を上げて
また
  闇の中に消えていった
種族が
 ちがうから

 マンホールを開けて
 下水道をひた走るおまえは
はだかで
泣いていたのか
笑っていたのか

ときどき
 酔い潰れた冷たい夜に
 硬いア
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