ラスト・ワルツ(路上のソワレ)/ホロウ・シカエルボク
いたものはいったいなんだったのかしら―?こんな結果でなかったことだけは確かだわ、わたし―わたしは、踊ることが好きだった、踊っている間は、わたしはなにものでもない存在になることが出来た、頭の中が真っ白になって―身体は蝶のように思うままに動いた、そうだわ―今思えば、あのひとときがあるだけで良かったのだ、他にどんなことも考える必要などなかったはずだった、けれど、踊り続けているうちに、いろいろな人がわたしの周りに集まってきて、取り囲んで、いろいろなことを言うようになった、そうしてそのほとんどの人が、わたしが踊ることで賞や注目を得ることを強く望んだ、わたしがそれを手に入れることが出来ないでいると、みんなでわ
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