ラスト・ワルツ(路上のソワレ)/ホロウ・シカエルボク
ように飛散し、その始まりのところに右の目玉が、終わるところに左の目玉が転がっていた、身体は真っ二つにちぎれて―下半身はもう原型をとどめていなかった、彼女を巻き込んだトレーラーは後輪が大きく流れ、車道の中央までスリップしたのだ…スマートフォンのシャッター音、動画の撮影を開始する音がそこら中で鳴り響いた、バレリーナはその音のたびに瞬きを繰り返した、もちろん、肉体的な意味での彼女ではない―適当な言葉を使えば霊魂とでもいうべきものだろうか?―そいつのことだ、彼女自身の、行き所を失くした心のようなものだ…それは生前の彼女のような自由さを取り戻すには至らなかった、彼女だった肉塊の、頭部も四肢も見当たらない上半
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