ちいさなちいさなことばたち 二/田中修子
 


「ひとりの結晶」

あなたに ある
あなたにしか ない

ひとりきりでみた
あの風景が

星や 宝石 きれいなビーズや
波音に風の鳴る音に
結晶 しています。

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「路上の会話」

きん色のおひさまですね

風がいいですよ

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「てのひらいっぱい」

あなたは
宝石をなくしたと
いつも
泣いてた

紫陽花がうな垂れて
夏はおわる

さがさなくても
わたしには
よくみえた

伝えられないまま
いなくなってしまって

わたしのなかに
あなたの
美しい宝石が
とりのこされたまんま

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