ちいさなちいさなことばたち 二/田中修子
「まちをあるく」
息がしろいということは、からだは雨よりあたたかいのだ
まちを歩く すこしのかどを曲がるだけで 知らない花が咲いている 煉瓦の玄関が雨に 濡れて光っている
だいたいの人は
自分で決めた 自分の部屋に
住んでいる
自分で決めた自分の人生を歩んでいるのだ
雨音がからだに 滲みこんでいく
傘のした
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「いつかさよなら」
いつか
みんな
かならずね
さよならを
するんだよ
できたら
かなしくて
あたたかいもの
のこして
ゆきたい
もん
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