ちいさなちいさなことばたち 二/田中修子
 


「まちをあるく」

息がしろいということは、からだは雨よりあたたかいのだ

まちを歩く すこしのかどを曲がるだけで 知らない花が咲いている 煉瓦の玄関が雨に 濡れて光っている

だいたいの人は
自分で決めた 自分の部屋に
住んでいる

自分で決めた自分の人生を歩んでいるのだ

雨音がからだに 滲みこんでいく

傘のした

---

「いつかさよなら」

いつか
みんな
かならずね
さよならを
するんだよ
できたら
かなしくて
あたたかいもの
のこして
ゆきたい
もん
戻る   Point(14)