ちいさなちいさなことばたち 二/田中修子
 
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「ギラギラとかげ」

おっきな
とかげの
ぎらんぎらん
しっぽっぽ

入道雲

夏の終わりに
ウロチョロ チョロ

夏の終わりは
さみしいかしら

羊歯にまぎれて
虫たべろ

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「どこかとおく」

どこか
とおくへ
ゆきたいけれど
どこか
とおくへ
いったって
じぶんはずっと
ついてくる

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「白い蟹」

夏の終わりの
群青のゆうぐれだ

赤ちゃんと
あまい浜辺で遊んでた
夜が
そろそろ
やってきた

中身の啄ばまれた
塩につかった
白い蟹が
パッカリ
割れた

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