ちいさなちいさなことばたち 二/田中修子
 

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「まどあかり」

とりかえしのつかないことを
うまれたことを
きずつけたことを

そんなことばかりが
海のにおいのする
いつか住む
知らない町の
やさしい窓明かりのように

胸をよぎっていくのです。
胸をよぎっていくのです。

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「空と雨」

そらは
きっと
寂しかろうに

みまもる
ばかりで
ひとりぼっちで

そらも
きっと
泣きたかろうに

なみだが
とんとん
ふって
きた

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「雷風」

かみなり びかびか
雲光る
雨宿り猫ちゃん
ままはどこ

ままはどこ

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