ロストの先端/ホロウ・シカエルボク
路面の状態が命にかかわると言っても過言ではないため、昼間は警備員が常駐している。夜は監視カメラによってリアルタイムで見張られている。だから、誰もわたしが居るところにはやって来れない。わたしはここの住人としてきちんと申請をし、許可を取って暮らしている。もっとも、警備員が居るところから出入りすることはまずない。そこからここは少し距離があるのだ。コンビニの裏手にはバイパスへと上がれる私道があって、そこを利用している。その私道の入口にももちろん監視カメラは仕掛けられている。法的にも物理的にも、わたしは守られている。わたしのなりはまったく浮浪者のようだが、その実はきちんとした市民だというわけだ。さて―わたし
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