ロストの先端/ホロウ・シカエルボク
 
それまで三人で住んでいた家にひとりで住んでいるという不自然さに耐え切れず、家のなかのものをすべて処分して人に貸すことにした。そばにある畑も込でそこそこの額で借りてもらうことが出来た。その時点でこのコンビニに住むことは自分の中で決まっていた。なにもないところで、なにもしないで暮らしたい。わたしはいつのまにかそんな風に考えるようになっていた。そんな、人気のない場所に住んで大丈夫なのかって?ところが、全然大丈夫なのだ。旧道の片側は土砂崩れによって海に落ちている。海からは崖というほどの高さではないが余程の装備がない限り上がってこれないくらいの高低差はある。反対側はフェンスによって完全に遮断されていて、路面
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