狂った文字盤の針にもグルーブは隠れている/ホロウ・シカエルボク
当は名前など必要としていないものだ、名など持つ必要があるだろうか?本当は名前などなくても自分のことを語ることは出来る、俺は初めから吐き出し方だけを覚えるべきだということを知っていた、最初の一行を書き出した瞬間からそいつは決まっていた、向かう場所は明確だった―俺を狂わせているものと共に、細胞に寄生虫のように棲みついた狂気と共に―そいつの息吹を吐き出す、そいつの蠢きを吐き出す、そいつが蠢くたびに落としていくおぞましいものたち―直観でもってそれらを処理していく、ある意味で俺は狂ってはいない、けれど皮膚の下で狂気は増殖している、狂気的ではあるが、狂気ではない、その意味がわかるだろうか―?俺は嘘つきのきちが
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