狂った文字盤の針にもグルーブは隠れている/ホロウ・シカエルボク
 


細胞の中で狂気は水棲生物の卵のように増殖を続けて、そのせいでこめかみの内側は微妙な痛みを覚え続けている、尖った爪の先が終始引っかかっているみたいな痛み―軽い痛みだけれど忌々しい、そんな―俺はいつでもなにかしらの形でそいつを白日の下に晒す試みをしている、それは処理されなければならない、けれどそれは直観的なものでなければならない、加工された狂気はもう狂気と呼ぶに相応しいものではない…だから俺は吐き出し方だけを模索する、そのバリエーションだけを覚える、身体をオープンにして、余計な力を抜いて―我知らず構築されたエゴは本質を駄目にしてしまう、それは便宜的な意味合いでだけ詩と呼ばれているもので、本当は
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