店内の明かりの下で/こたきひろし
いてくれた。
明るく接客しテキパキと料理を運んでくれた。
私は完全に彼女に負けていた。
本業がバイトに負けてどうするんだよ。
私は不器用で鈍感で口下手だった自分に引け目を感じ自分を呪っていた。
そんなある夜。客がいなくなると、真理子さんはカウンター前の端の席にすわっていた。
隙な時間はいつもそうしているように紙ナフキンを三角に折りながら、キッチンの中のマスターとおしゃべりしていた。
私はその会話の中にいつも入れずにいた。
その時、マスターが私の事を話題にした。話しは私の思わぬ方向に進んだ。
「真理ちゃんの事Kが好きだって言ってたよ」
私は慌ててそれを否定した。確かに彼女に好
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