触れ合う/帆場蔵人
 
右の頬を叩かれ
左の頬も叩かれ
まったく叩かれてばかりだ
女に叩かれ振られ
男に目つきが悪いと叩かれ
ふらふらして肩がぶつかり叩かれ
まったく叩かれてばかりの人生だが
ぼくだって毎日地球を叩いている

歩いて、走り、たまに密やかに
人知れず踊ってみたりする
そうすると地球が叩き返してきて
鼓動は高鳴り、どこまでも飛べそう
しかし雨だ、雨が降ってきて
百万回は叩かれて
ふらふら
肩がぶつかり叩かれる
あぁ、まったく上手く出来ている

ひとは大地を耕し、牛馬が草を食む
工場地帯の黒雲はいつか嵐を孕むだろう
生命は叩き叩かれ、どんどんと草木の芽は
息吹いてゆき
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