触れ合う/帆場蔵人
ゆき、密かに交わされる密談が
マンホールの蓋を揺らして、ひとが落ちる
まったく上手く出来ている
ふらふらしてたら
だれかにそっ、と抱擁されて鼓動が
打ちあい、心臓の歌が聴こえた
下水道やそこに生きるどぶネズミの糞
街かどでだれかが無造作に咀嚼するパン
死にゆくひとの吐息から
指さきにふっ、と止まる
秋茜のように
ちろちろ、萌えて掠れて
ひゅるりら、ひゅるりら、流れ
流れ、流れて、雪崩れ、泣かれて
心臓はなる、歌え心臓、耳を地に落とし
あまり無造作に地球を
抉らないでくれ、奪わないでくれ
垂直に地球を見下している
ぼくらが言うことなのか
あぁ、わかってい
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)