等間隔の約束/望月 ゆき
 
よりも増やすことだって可能かもしれないよ

時計屋の主人は店の奥で
どの時計が正しいかさえわからないまま座っている


     *


ぼくがこの街のできるだけ詳しい縮図を探して
せまい本屋の通路を右往左往している間
きみは世界地図を持たないまま
海の向こうへ泳いで渡る
という夢を語る


     *


言いたいことはたくさんあるのに
上手い言葉が見つからなくて
半分も伝わらないのだ

嘆くことは多分、無駄なことだよ
だって、もともと
言葉は何も伝えない
言葉は死にかけている
きみの、ぼくの、
右でも左でもなく
目の前で



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