恋文がバイクに乗って来たとは言えなくて/こたきひろし
 
はなかったけれど
男友達は一人もいなかった
欲しくもなかった

私は人付き合いの能力が欠けていた
私は
たとえ肉親を相手にしてもろくに言葉が交わせなかった
親族の中においても浮いた存在になり勝ちだった

だけど一人前の雄に成長すると
どうしても
女友達が欲しくなった
本能が強くその方向に差し向けたからだ

だからといって
不器用で内向的な性格が支える体に
にわかに雌を引き付ける逞しさも獣らしさも
降ってわいて来る訳がなかった


それでも私は一人の女性に狙いをつけた
だが
彼女の心臓を射ぬくためにの有効な武器を持たされていなかった
私が思い付いて、繰り
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