運命のまばたきのしかた/ホロウ・シカエルボク
ないが、この農場を再建して、ちょっとした畑でもやって暮らそうかな、なんて考えながらここに来たわけさ」「あんた宿は?」女はかぶりを振った「いろいろあってね…なんのあてもなく旅をしてたの、もう何ヶ月にもなるわ―バスにも、あてのない旅にも飽きてしまってるの」旅なんて、あてがあってこそ楽しいもんだよな、と俺は言った、女はこれまでの思いを込めて深く頷いた―「最初の掃除を手伝ってくれるなら宿代は取らないが、どうだい?」女はあまり悩まなかった、なにかしら新しいことを求めていたのだろう「乗るわ」俺は農場の門の鍵を開けた「ドラム缶の風呂に入ったことは」「ないわ…でも楽しそうね」「じゃあ問題ない、電気もガスもないが薪
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