運命のまばたきのしかた/ホロウ・シカエルボク
が薪と油はたっぷりある」「アナログって時々魔法みたいに思えるわ」それから俺たちは件の現場を見て生々しい痕跡に震え上がり、ベッドをバラして窓から投げ捨てた、それからあらゆるところを掃いて拭いて、時々は釘も打って、どうにか住める状態までこぎつけた、それからドラム缶を転がして井戸水を汲み上げ、火の番をしながら交代で風呂に入った、見ず知らずの人間の前で裸になることも厭わぬほど疲れ果てていた、そしてそのせいで俺たちは見ず知らずの間柄ではなくなった、女の名はアンジーと言った、アンジーは旅支度を解き、どこかの畑でくすねたというジャガイモを使って簡単な煮物を作った、それから一階の埃臭いベッドで寄り添って眠った、あまりにも無計画で、あまりにも突発的な出来事だった、だけども二人には、時間だけは腐るほどあったんだ。
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