運命のまばたきのしかた/ホロウ・シカエルボク
履いていた、まだ夏の名残は少し風のなかに残っているとはいえ、彼女のそんないでたちは少し寒そうに見えた―痩せぎすだったせいもあるのかもしれない、それから、ろくに陽も出てこないような薄ら寒い天気だったのも、原因のひとつだろう、そうでなければ、俺は物好きを見るような目で一瞥して、それきり彼女のことなんか忘れてしまっただろう―ただそんなことのほかに、その女が、もうなにもすることがなくてそこに立っているような気がして、そんないろいろな些細な理由で、俺はのんびりと彼女に近付いて話しかけた「やぁ」「ハイ」彼女はここで言葉を喋れる人間に出会えるなんて思ってもいなかった、というような顔をして俺を見つめた、俺があまり
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