いつかすべては使われない部屋に放り込まれるけれど/ホロウ・シカエルボク
 
いまの俺にとってはどんな意味も持たないものだった―クラクションの音が聞こえる、辺りをぐるりと見渡してみたけれどどこでその音がしているのかまったく分からなかった、近頃じゃ母親の乳を欲しがる赤子みたいな調子でハンドルを叩いているやつらばかり、たった数十年の人生のすべてを無条件に肯定して生きているやつら―そんなやつらが後生大事に抱えているささやかな成功など取るに足らないものだ…手近な本に書いてあることなど明日にはもう価値が変わってしまう、行き交うやつらの顔からポエジーが見えなくなってもうしばらく経つ、昔はそこらへんでだって見つけることが出来た、自分なりの人生の泳ぎ方や語り方といったようなものを―それはそ
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