渚にて/ホロウ・シカエルボク
 
ての範囲のなかで着地点を探そうとすること、もしも人生というものを強引に定義づけるなら、きっとそんなことになる


砂浜の途切れるところには巨大な岩場があり、どこまで続いているのか判らない天然の石畳が広がっていた、足を踏み入れると膨大な数のフナムシが乾いた音を立てながら四方八方に散り始めた、虫の足音がどことなく怖ろしいのは、きっとそいつが頭のなかで蠢いているかのような錯覚を覚えるからだろう―昔読んだコミックのせいかもしれない、死体のなかに入り込んだ無数の虫が、さもそいつが生きているみたいに動かしてみせる―そんな場面があった、きっともともと人間はそんな虫共の集合体なのだ、いつかわが身の薄皮が破れ
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