渚にて/ホロウ・シカエルボク
破れて、なにかおぞましいものが姿を現すのではないか、そんな恐れがないといえば嘘になる、そして恐れは往々にして、憧れでもある、人一倍死を恐れるものは、実は人一倍死んでみたいと考えている…フナムシたちは器用に、足元だけを避けて広がっていく、まるでサーチライトのなかにいるみたいだ、そしてそれが照らしているものは、いったいなんなのだ―?
岩場の終わりには、人ひとり住むには十分なくらいの、だけど家と呼ぶには少し躊躇われる程度の小屋がひとつ、岩盤に投げ捨てられたかのように建っていた、いったいいつからそこに在るのだろう?屋根の色も、壁の色も、もうもとはどんな色だったのか推し量ることは出来なかった、まる
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