あいたい/秋葉竹
なにも変わらないはずの
空の、海の、青が
島嶼からのやさしい風で洗われたようで
風の谷の風と
潮の香りの風が
あらかじめ決められた
死を遠くへ運び出してくれる
海の旅の話をしようか?
勘弁してほしい
空気を切り裂く
音のする
北の大地の凍てつきを
忘れることなどできないから
あしたは、
今日と同じ、
限りない可能性が
あるとはかぎらないのだから
すこしだけ、
約束の時間を大切にせずに
つらい微笑みのカタチをとる愚かな
寂しがり屋、北のひとつ星の下、
ぼくを置き去りに、
海は、旅に出る
遠ざかる
抱きしめたいの
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)