あいたい/秋葉竹
 
 
なにも変わらないはずの
空の、海の、青が
島嶼からのやさしい風で洗われたようで

風の谷の風と
潮の香りの風が
あらかじめ決められた
死を遠くへ運び出してくれる


海の旅の話をしようか?

勘弁してほしい

空気を切り裂く
音のする
北の大地の凍てつきを
忘れることなどできないから

あしたは、
今日と同じ、
限りない可能性が
あるとはかぎらないのだから

すこしだけ、
約束の時間を大切にせずに
つらい微笑みのカタチをとる愚かな
寂しがり屋、北のひとつ星の下、

ぼくを置き去りに、
海は、旅に出る

遠ざかる
抱きしめたいの
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