ジェニーは夕暮れのあとで/ホロウ・シカエルボク
起こすことが出来なかった、元気なミイラのようにそこに横たわっていた、いろいろなことを考えて気持ちは急いたけれど、身体を起こせないのではどうしようもなかった、今夜約束の場所に行かなければあの男はもうわたしにヤクをくれなくなるかもしれない、売人は約束に厳しい、危険を冒してやってくるのだもの…どうにかして起き上がることは出来ないだろうか?試してみたけどやっぱり無理だった、とんでもない眩暈―寝返りを打つのにも億劫なほどだった、大丈夫なのだろうか、とジェニーは思った、あのなんだか判らないヤクのせいでこのまま死ぬなんてことにはならないだろうか…そこにはほんのすこし恐怖があった、そのことを考えると怖くて仕方がな
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