ジェニーは夕暮れのあとで/ホロウ・シカエルボク
がなかった、なのでまるで違うことを考えることにした、でもどんなことを考えるといいだろう?こんなクソみたいなクスリのことを気にしないで、回復するまでじっとしていられるようななにか―クスリ―ジェニーは医療ミスで余計なクスリを投与されて死んだ自分の叔父のことを思い出した、そうだ、あれは―確か私が三年生のときだったわ、ママが学校までやって来て、先生に訳を話して、私のことを連れ帰って葬式に連れて行ったのだ―叔父についてジェニーはほとんどなにも知らなかった、ただ戦争に行っていたという話をちらっと聞いたことがある程度だった、そうだ、いちどだけふたりで遊んだことがあった、もっともジェニーがすごく小さいころの話で、古い写真をスライドでスクリーンに映し出しているような、いくつかのスナップみたいな光景があるだけだった、叔父さんの死体をちゃんと見ることは出来なかった、奇妙な肌の色をしていたからだ―そう思いながらジェニーは右手で顔に垂れてきた前髪を横へ垂らす―そうよ、あれはこんな色をしていたわ。
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