ジェニーは夕暮れのあとで/ホロウ・シカエルボク
ニーに指先は売人たちの間で大変な人気があった、いや、伝説と化していた―ジェニーの指先のお世話になれるのなら、ヤクなんかタダで渡してやる、そう言ってくれるものは何人も居た、初めてそれを体験した売人など、感動のあまりその日持っていた商売道具を全部渡してくれた、ジェニーはそれをありがたく受け取って、帰り道で出会った売人に結構な額で売り、そのあとでたまたま出会った売人の持っていた上物を買った―そう、あたしは自分のテクニックに感謝しなければいけない、自分みたいな貧乏人がこれまで何度も上物にありついてこれたのは、まさしくそれがあったおかげなのだから…窓の外には夕暮れが迫っていたけれど、ジェニーは一向に頭を起こ
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