春のきまぐれ/本木はじめ
こで飛ぶんだ
胸騒ぎこんな夜です鳥たちが闇でも自由に空を舞うのは
対象がいない春です占いの異性運だけ二重丸でも
計画を建てて失敗してたあの頃のぼくらが一番好きです
食べ尽くす吐いても吐いてもまた食べる希望とよく似た日々の欲望
一巻の終わりは二巻の始めだとくだらないこと考えていた
朝露の冷たい雫が頬に落ち薔薇の名前を思い出したの
暖い紅茶にミルクを注ぐときのきみの仕草も春だと思う
怪しげな笛の音色に誘われて森へゆくきみ届かない 声
わたしたちばかりどうして狙うのよ果物ナイフを責めるくだもの
進みゆく桜
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