春のきまぐれ/本木はじめ
 
く桜の胎動 赤と白 今ごろ幹の中で混ぜてる


喪った翼をふたたび得んがためたとえば鴉の死体を探す


お留守番ちゃんとできるねそう言って嵐の海へと身を投げるノア


もうなにもわからないからあきらめる静かな庭でお茶を飲むきみ


未来から捨てられている廃屋の縁側お茶を飲んでるふたり


動かないきみを見ながらお茶を飲む春の陽射しが優しい庭で


川沿いを駆けゆくどこかに橋があることを信じて黄泉のマラソン




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