春のきまぐれ/本木はじめ
 
供に見える帰郷した父母


角砂糖とかしてかたちがなくなった甘い生活リズムよさばら


つまづいた妹の櫛欄干へ落ちるきらきら光る鶴の絵


携帯の着信音がきみの声だったらいいな春はあけぼの


ぬいぐるみみたいなパンダ本当は中に誰かが入っているとか


書くことができないさようならなんて言えないだから仲直りしよう


洗濯機冷蔵庫など運び出す春の引越し業者は新人


罠だとは知っていたけどもういいのわたしはわたしにうんざりしたの


あさっての方向むいて考えるキャベツとレタスは兄弟なのかな


杉林ぬければくしゃみも鼻水も気にならないさぁここで
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