金平糖草と野うさぎ/愛心
 
です。」
「何がお聞きになりたいのかしら。」
まるで首を傾げるように揺れた花に、野うさぎはさっきより少しだけ大きな声で、でも驚かせないように優しく尋ねました。
「お花さんたちは何故、そんな美しい声をしてらっしゃるのですか。ぼくもそんな声が欲しいのです。」

湖の水面が風に撫でられ、さあさあと音を立てたかと思うと、水際は美しい音に満たされました。花達が一斉に笑いだしたのです。
野うさぎはさっき叱られた時よりもっとずっと恥ずかしくなりました。鼻をふすふすと鳴らし、せわしなく耳の後ろを掻きながらその場をぐるぐると歩き回りました。
「ぼく、ぼく、そんなに可笑しなことを言ったかなあ。お花さん、
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