絆創膏と紙コップ/ホロウ・シカエルボク
ターは言った。え、と俺は驚いて返した。
「いつ?」
「ここであなたと話した次の日ですよ。車に飛び込んでね。自殺です。」
「すぐそこの交差点?」
「そうです。私はここで人に会う約束があって、昼から出て来ていたんですよ。たまたま目撃することになってしまって。」
「そうなんだ…。」
奇妙な感覚だった。別に知り合いというわけでもない、少しここで話をしただけの、名前も知らない男。けれどあの時は確かに生きていて、俺と言葉を交わしたのだ。少ししょぼくれてはいたけれど、ひとりぼっちになったからって死を選ぶような人間には見えなかった。それは実に奇妙な感覚だった。情報は非常に少ないのに、死とい
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