絆創膏と紙コップ/ホロウ・シカエルボク
くも寂しくもあり、というものですかね。」
男は大きく頷いた。
「連れはすでにあっちに行ってましてね。ひとりぼっちですよ、この歳で。」
俺はなんと返せばいいのか判らず、それはそれは…という感じの曖昧な返事をした。ジェーンバーキンとセルジュゲンズブールの悪名高いポップスが流れていた。
「お仕事は何をされているのですか?」
暗い会話になってしまったことを気まずく思ったのか、男は突然話題を変えた。小さなレストランのコックです、と俺は答えた。
「私も昔やってたんですよ。」
それからしばらくは食いものの話に花が咲いた。水割りを二杯飲んで男は帰って行った。俺も同じものをお代わりして、
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