絆創膏と紙コップ/ホロウ・シカエルボク
二十歳になるまでは生きる』って言っておられました。」
マスターはそこまで言うと、ひとつ大きな息を吐いた。
「その時もだいぶん飲んでおられたし…酔った勢いでのことだと思っていたんですけどね。」
マスターの気持ちは充分理解出来た。けれど、そんなことがなんになっただろう?仮にあの男が、娘の二十歳の誕生日が終わったら自ら命を絶とうと考えていたところで、マスターや俺に何を言うことが出来ただろう?そんなことどうすることも出来ない。出来ないし、それほどの繋がりもないだろう。こんなことを言うと冷たく聞こえるかもしれないけれど、と俺は前置きして、言った。
「あんまり気にしないことだよ。彼の気持ちなん
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