キリストとフクロウ/ホロウ・シカエルボク
れど、高い、ステンドグラスをはめ込んだ窓から差し込む陽の光や、荘厳とした雰囲気は俺の心を捕らえて離さなかった。その教会は俺が小学校の高学年になる頃に取り壊された。思えばそこから俺はどこにも行けなくなったのだ。ああ、あそこか、と俺は思った。あの教会が俺をここまで連れてきたのだ。あそこに住んでいたなにかが、俺をここで十字架のように倒れた木の枝に引き合わせたのだ。それはもう思い出ではなく示唆に満ちたなにかだった。俺はもう瞬きすらしていなかった。懸命にキリストを彫り続けた。もう自分がなにをしているのかすらよく判らなくなったころ、それは出来上がった。
朝だった。月が出たまま雨が降り続けた、なにもか
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