キリストとフクロウ/ホロウ・シカエルボク
でもよかった。目が効くのなら、やることはひとつだけだった。
それからいくつかの朝と夜が入れ替わり、激しい雨が降って強い陽射しが照りつけた。けれど不思議と夜には狂ったように明るい月が出て、おかげで俺は手を止めることなくキリストを彫り続けることが出来た。疲れは感じなかった。とにかくこれを完成させたかった。キリスト教徒でもなんでもなかった。むしろそんなものは馬鹿にしていた。でも、キリストの馬鹿正直さにはどこか憎めないものを持っていた。教会も好きだった。子供のころ、住んでいた家の近くに朽ち果てた教会の廃墟があり、よくそこに忍び込んでは高い天井を眺めていた。神なんてものは正直理解出来なかったけれど
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